コーヒー豆の賞味期限は、豆や包装の状態で異なりますが、大原則として覚えておきたい目安は以下の通りです。
【未開封】
・真空パックなら1年間
【開封後】
・豆のままなら2週間
・挽いたものなら5日間
この記事では、コーヒー豆の風味を左右する豆や包装の状態、保存場所などに注目し、おいしく飲める賞味期限とその注意点をご紹介していきます。
他にも、コーヒー豆の正しい保存方法から、コーヒー豆の風味を復活させる方法まで、コーヒー豆の賞味期限にまつわるさまざまな疑問についてお答えしていきます。
どうぞあなたの豊かなコーヒー生活にお役立てください。
1. コーヒー豆の賞味期限
まずは一覧をご覧ください。
生豆を焙煎し、飲むことができる状態にしたコーヒー豆は「加工食品」のため、しっかりと密閉した未開封の状態であれば、約1年という長期保存が可能です。
しかし、ほかの食品と同様に、賞味期限はあくまでも「開封前」の期限であり、開封後も表示された期限の中であれば変わらず飲めるというものではありません。
開封をしたコーヒー豆は、袋を開けた瞬間から酸化が始まるため、表の上段で示した日数をすぎると、明らかに風味が落ちてしまうのです。
それでは、豆の状態や包装によるコーヒーの賞味期限について、詳しく見ていきましょう。
1-1. 【開封後】コーヒー豆の賞味期限は2週間
豆のままのコーヒーは、常温保存で2週間ほどは風味が大きく変わることはありません。
2週間を過ぎた辺りから、甘みと香りの低下および苦味と酸味の上昇が始まります。
もちろん、苦味や酸味の感じ方は人それぞれなので、人によっては「1ヶ月後でも問題なくおいしい」と感じる場合もあるでしょう。
しかしそこで出ている酸味はコーヒー豆本来の持つ「爽やかでフルーティーな豆の香り」ではなく、「酸化によって発生した酸味」です。
味覚は個人の好みに大きく左右されるものですので、必ずしも他人の好みが自分にも当てはまるものではありません。自分の好みの風味を見つけることも大切です。
なお、一杯当たりに使用するコーヒー豆はおおよそ10〜12gですので、自分の飲む頻度や好みの濃さなどを考慮し、2週間以内に飲みきれる量を購入するのが何よりも大切です。
1-2. 【開封後】コーヒー粉(挽き豆)の賞味期限は5日間
挽き豆は表面積が大きくなって空気に触れる分、賞味期限が短くなります。
そして基本的に、挽いてから5日間程度は大きな風味変化はありません。
挽き豆を購入する場合は、封を開けた時点から5日間で飲みきれる量をしっかり考慮し、豆よりも特に大量に買いすぎないことが大切です。
1-3. 【未開封】真空パックのコーヒー豆の賞味期限は1年
業務用機械を使い完全に真空パックされたコーヒー豆であれば、1年間は風味が変わることなく密閉保存することができます。
メーカーによる賞味期限の設定の仕方について、お話ししておきましょう。
メーカーは自社検証によって「鮮度・風味が変わらない最大期間」を確認します。しかし、より安全を求めるため、検証で「鮮度・風味が変わらない」と実際に確認された期間よりも、短い期間で賞味期限を表示しているのです。
これは農林水産省のガイドラインに従うもので、検証で確認した「鮮度・風味が変わらない」期間に、0.7〜0.9の安全係数をかけることで、賞味期限の期間表示をすることになっています。
つまり、実際には賞味期限を幾分過ぎても、急激に風味が落ちるものではないのです。
メーカーの自社検証によって確認された「実際に鮮度・風味が変わらないと認定された期間」は、安全係数0.7〜0.9で割り戻すことで算出ができます。
表示された賞味期限12ヶ月÷0.7〜0.9(係数)=13〜17ヶ月 |
とはいえ、もちろん表示された賞味期限内に飲みきる方が安全ですし、開封した後は先に述べた「豆のままなら2週間」「挽き豆なら5日間」に準じます。
1-4. 【未開封】量り売りコーヒー豆の賞味期限は包装で異なる
専門店で購入する量り売りコーヒー豆の場合は、その包装に「密閉性」「遮光性」がどれくらいあるかで、賞味期限は大きく変わってきます。
実際には、紙製のクラフトバッグであっても、内側にアルミ加工がしてあれば、密閉性はアルミパックのものと同様になります。
一方、アルミパックのものでも、中が見えるよう片面に窓が空いたデザインであれば、その分だけ遮光性は落ちることになります。
また、ガス抜きのための通気孔がある場合は、どんな素材の包装であっても密閉性は完全ではありません。
また、個包装のドリップコーヒーなどで、中にコーヒー用のガス吸収剤が挿入されていれば、入っていないものよりも長く風味を保つことができます。
包装の素材やデザインによって開封前の賞味期限はさまざまですので、量り売りコーヒー豆を購入する場合は、個別に賞味期限を確認してください。
2. コーヒー豆の賞味期限は「焙煎日」から数える
コーヒー豆の賞味期限は「焙煎日」から数えます。
つまり、コーヒーの豆の状態による賞味期限は
・豆のままのコーヒーは焙煎をした日から2週間以内
・挽き豆(粉)のコーヒーは焙煎豆を挽いてから5日以内
なのです。
しかし、前の章でもお伝えしましたが、焙煎後のコーヒー豆は焙煎直後から3日ほどは炭酸ガスの放出が活発に行われるため、風味が安定しない(=必ずしもおいしいとは限らない)のが特徴です。
市販品は包装状態を含めた品質を一定に保つため、通常この炭酸ガスの放出がおさまってからパッケージングして出荷します。つまり、焙煎日からすでに3日ほどは寝かせているものなのです。
専門店などで量り売りのコーヒー豆をで購入する場合は、焙煎直後のものか寝かせたものか、それぞれのお店の方針に則って販売していますので、お店の方に確認してみてください。
焙煎後の炭酸ガスの発生について考慮すると、コーヒー豆の「おいしさ」のための賞味期限は、以下のように言えます。
コーヒー豆の場合:焙煎後4日から14日の間コーヒー粉(挽き豆)の場合:焙煎後3日から一週間程度の豆を挽いたのち5日間 |
3. 正しいコーヒー豆の保存方法
開封後のコーヒー豆の風味をできるだけ保っておいしく楽しむための、正しい保存方法をご紹介します。
保存の量ごとに分けてご紹介しますので、参考になさってください。
3-1. 【開封後】賞味期限内に飲みきれる量の場合
賞味期限内に飲みきれる量(豆のままなら2週間、挽き豆なら5日間)であれば、気をつけたいのは次の2点です。
・空気に触れさせない
・極端な温度変化をさせない
実際のやり方を見てみましょう。
STEP1:できるだけ空気を抜く
購入したコーヒー豆の入っていた袋の口がジップ式であれば、中の空気をできるだけ抜いてから閉じます。
ジップ式でない場合は、袋のままできるだけ空気を抜き、ジップ式の袋または固形容器(瓶や缶など)に入れます。
そもそもどんな保存容器を使えばいいのか、選び方から人気のコーヒーキャニスターの口コミまで、コーヒー豆の保存容器について詳しく知りたい方は、以下の記事も参考になさってください。
KW【コーヒー豆 保存容器】タイトル
STEP2:直射日光の当たらない室内に置く
コーヒー豆の保存は常温が最適です。
たとえ真夏でも、日中に室内に人がいるのであればエアコンが効いているでしょう。
日中に人のいない室内の場合は、窓から離れた熱のこもらない場所に置いておけば問題ありません。
蛍光灯からの紫外線で食品の劣化が進むなどと言う場合がありますが、実際に蛍光灯が発する紫外線は、太陽光のわずか1,000分の1。
蛍光灯の下に10時間いても、直射日光36秒分にしかならないのです。
LED電球であれば、蛍光灯のさらに50分の1程度の紫外線しか発生しないため、気にすることはありません。
3-2. 【開封後】飲みきるのに1ヶ月以上かかる場合
賞味期限内に飲みきれる量(豆のままなら2週間、挽き豆なら5日間)だけ常温で保存し、残りは冷凍庫で保存します。
STEP1:小分けにする
一回に挽く分の豆、または一杯分の挽き豆ごとにジップ式の袋に小分けします。
この際、できるだけ空気を抜いてください。
大量のまま冷凍庫で保存すると、取り出すたびに残りの豆が激しい温度変化に遭い、霜が着いてしまいます。
この霜はコーヒー豆に湿気とニオイ移りを与え、風味を大きく損ねる原因になります。
STEP2:平らにして重ねず急速冷凍する
小分けにしたコーヒー豆または挽き豆は、できるだけ平らにして冷凍します。
厚みがあると、内側の豆が冷凍状態になるまでに時間を要します。
また、小分け袋が複数できたとしても、常温から冷凍にする際は複数の袋を重ねないようにしてください。これも全体で厚みが出ないようにするためです。
お手持ちの冷蔵庫に「急速冷凍」機能があればそれを活用します。
機能がない場合は、金属製のトレイに並べて、設定を「強」にして最低でも6〜8時間おいてください。
完全に冷凍状態になってからであれば、他のものと重ねても問題ありません。
3-3. 【未開封】しばらく開けそうにない場合
大量購入やいただき物がたまってしまうなどで、封を開けるのも先になりそうなものは、基本的に賞味期限までは常温保存が最適です。
賞味期限を大幅に超えても封を開けそうにないものは、そのまま急速冷凍して冷凍保存するか、賞味期限内に人に譲るのがいいでしょう。
おいしく飲めるうちにできるだけ飲みきることが何より大切です。
4. 冷凍庫で保存したコーヒー豆を常温に戻す方法
冷凍庫から出してすぐの、低温のままの豆でコーヒーを抽出すると、豆が本来持つ香りとコクが出てきません。
しかし冷凍保存した豆をそのまま室温で常温に戻すと、今度は気温差により周囲の湿度を吸着することで、コーヒー豆の風味が落ちてしまいます。
そのため、冷凍保存したコーヒー豆はできるだけ吸湿させないようにして常温に戻すことが、コーヒー豆の風味を守るために重要な方法なのです。
以下でコーヒー豆の風味を守る3つの解凍方法をご紹介しますので、所要時間やその時の手間度合いなどで選んでください。
なお、冷凍から常温に戻すコーヒー豆の量は、その時に飲むか挽くかする分量だけにしてください。
大量のコーヒー豆で行うと、温度ムラが起きてさらに吸湿しやすくなります。
解凍方法①:冷蔵庫の冷蔵室で一晩解凍したのち室温にならす
所要時間 | 10〜12時間 |
用意するもの | 緩衝材 |
小分けのコーヒー豆をジップ式の袋ごと緩衝材などでくるみ、冷蔵室にひと晩置いて解凍します。
冷蔵室においたコーヒー豆はまだ常温よりも低い温度なので、緩衝材にくるんだままさらに室温に1~2時間置いて常温に戻します。
解凍方法②:氷水の中で解凍してそのまま常温まで放置する
所要時間 | 3〜4時間 |
用意するもの | 緩衝材、ボウル、氷、水 |
ボウルに氷水を張り、小分けのコーヒー豆をジップ式の袋ごと氷水の中に入れます。
氷が完全に溶けて水が常温になるまで放置しますが、氷の量を多くして、できるだけ時間をかけて解凍するのがコツです。
解凍方法③:冷凍庫からチルド室→冷蔵室→野菜室の順に移す
所要時間 | 3〜6時間 |
用意するもの | 緩衝材 |
小分けのコーヒー豆をジップ式の袋ごと緩衝材などでくるみ、冷蔵庫内の各室を30分〜一時間ずつ移動させます。
メーカーにもよりますが、各室の設定温度はだいたい以下の幅で設定されています。各室を移動させながら少しずつコーヒー豆の温度を上げていきます。
最後の野菜室から取り出したら、緩衝材のまま1〜2時間室温にならします。
どの方法も、時間をかけて少しずつ常温に戻していくことで、コーヒー豆の風味を守るものです。
コーヒー豆に汗をかかせない(=結露させない)ように注意します。
とはいえ、冷凍保存をすると、これだけの手間をかけないとコーヒー豆の風味が落ちてしまいますので、「飲みきれる量しか手元に置かず常温で保存する」のが、何より簡単な保存方法と言えるでしょう。
5. コーヒー豆は冷蔵室では保存しない方がいい
コーヒー豆に限らず、開封した食品は冷蔵庫に入れておくという方も多いでしょう。
温度が低い方が食品の腐食速度は遅くなるため、その点だけを見れば理に適っています。
しかし、コーヒー豆についていえば、冷蔵庫で保存することはお勧めできません。
腐食速度を遅らせるという利点以上に、コーヒー豆の風味を大きく損なう3つの問題が発生します。
・保存中の周囲の食品のニオイ付着
・温度が戻る過程における吸湿
・温度の低い豆で抽出することによる香りとコクの低下
この3点は、家庭用冷蔵庫を使う以上、絶対に避けることのできないものです。
家庭用の冷蔵庫にはいろいろなものが置かれるうえ、開閉回数が多くて庫内の温度が安定しません。ニオイ移りや吸湿をしやすいコーヒー豆の保存には向かないのです。
大量に余るのならば、先の章でお伝えした「冷凍保存」を。少し余る程度の量ならば、あくまでも常温で保存することをおすすめします。
6. 賞味期限が切れているかを見極める3つのポイント
ここまで、コーヒー豆の保存の大原則は「常温で密閉」とお伝えしてきましたが、コンロ周辺など熱のこもる場所に置いていたり、うまく密閉がされていなかったりなど、劣化の可能性があるコーヒー豆もあるかもしれません。
いまあなたの手元にあるコーヒー豆が、果たして賞味期限内と言えるのかどうか、見極めるためのポイントを3つご紹介します。
もちろん、ここに挙げた以外でも、見た目にはっきりと割れやカビが生じているものは、決して飲まないでください。
▪︎封を開けた時に香りがしない
常温で封を開けた時に、コーヒー豆の香りがしないものは、すでに風味が飛んでしまっているため、飲んでもおいしいものであるとは言えません。
▪︎ドリップ時に粉が盛り上がらない
挽き豆をドリップした時に、コーヒー粉が膨らまないものは、鮮度が低いものです。飲んでもおいしいものであるとは言えないでしょう。
▪︎飲んだ時に酸っぱい
味覚はそれぞれですが、コーヒー豆本来がもつ柑橘やベリーの爽やかなフレーバーとしての酸味ではなく、「喉や舌に酸っぱい」と感じるものは、酸化しきっているものです。
特に、最後の状態になってしまったものは、すでに食品としての安全性にも不安が残るため、飲用にはしないようにしましょう。
食品としての安全性を欠いたコーヒーを飲むと、健康面にも影響が出ることがあります。
7. 賞味期限切れのコーヒーを飲むことで起きる可能性のある症状
体質や飲用時の体調によっては、賞味期限切れのコーヒーを飲むことで以下の症状を起こす場合があります。
▪︎喉がイガイガする
▪︎吐き気がする
▪︎腹痛を伴う下痢をする
酸化したコーヒーを飲むことで現れるこうした症状は、基本的には30分〜小一時間程度で治まるものですが、胃や肝臓に大きな負担を与えることがあります。
持病のある方は特に、第6章でご紹介した「賞味期限切れを見極める方法」を参考に、少しでも疑わしい場合は摂取しないようにしてください。
8. 少しだけ風味が落ちてしまったコーヒー豆を復活させる方法
はっきりと賞味期限切れとは言えないものの、明らかに香りが落ちている場合や少し酸味が出始めたと感じる場合に、コーヒー豆の風味を復活させる方法をご紹介します。
基本的に、一杯当たりに使用するコーヒー豆はおおよそ10〜12gですが、ふだん飲む時に使用する豆よりも1.1〜1.2倍ほどの豆を使用するようにしてください。
なお、ここでご紹介する方法はあくまでもその時に飲む分に対しての応急処置ですので、大量に余っているコーヒー豆には応用しないでください。
そして抽出したコーヒーについても、できるだけ早く飲むようにしましょう。
それでは、抽出前と抽出時のそれぞれの方法について詳しくご説明していきます。
8-1. 抽出前にコーヒー豆を復活させる方法
コーヒーをドリップする前に行うひと手間です。どちらか一方を行います。
8-1-1. 抽出前の復活方法①:フライパンで煎る
コーヒー豆または挽き豆を、フライパンで全体をから煎りします。
すでに焙煎してある豆を再び煎ることで豆の湿気を取り除き、同時に中に残っている香りの成分を揮発させやすくします。
プロの焙煎士も行うダブル焙煎をするイメージで、温度ムラがないように注意しながらゆっくり混ぜ、全体が熱くなるまで焦がさないように煎ってください。
8-1-2. 抽出前の復活方法②:レンジで温める
一杯分のコーヒー豆を耐熱皿に平たく敷き、ラップをかけずにレンジで温めます。
温め時間の目安は500wで40秒間、600wで30秒強ほどです。
フライパンで煎るのと同様に湿気を飛ばし、中に残っている香りの成分の揮発を誘発させることができます。
温度ムラができるのを避けるため、できるだけ広く平らに置くのがポイントです。
8-2. 抽出時にコーヒー豆を復活させる方法
いざコーヒーを抽出をするという際にも、ちょっとしたひと手間や工夫によってコーヒー豆本来の風味を復活させることができます。
8-2-1. 抽出時の復活方法①:ドリッパーとカップを温める
抽出する際に、ドリッパーとコーヒーを淹れるカップを温めておくことで、メインの香りを立ちやすくします。
8-2-2. 抽出時の復活方法②:高温で抽出する
通常のコーヒーの最適な抽出温度は80℃〜85℃とされています。
これ以上に高温の湯で抽出すると雑味が出てしまうのですが、風味の落ちてしまったコーヒー豆については、90℃〜95℃の高温の湯で抽出すると、豆の香りが立ってきます。
雑味が出やすいため、抽出後は早めに飲むことをおすすめします。
8-2-3. 抽出時の復活方法③:点滴法で抽出する
ゆっくりと時間をかけて湯を注ぐことで、コーヒー豆の成分を一滴ずつじっくりと引き出します。難易度がとても高いものですが、成功すると、コーヒーをふだん飲みなれていない人でも風味の違いがはっきりとわかるものです。
【点滴法によるコーヒーの淹れ方】①挽き豆をドリッパーにセットし、ポトポトと一滴ずつ湯を垂らす②コーヒーカップの底辺全体にコーヒーが行き渡ったら、ごく細い糸状に湯を注ぐ③湯の先を少しずつ回して500円玉大まで広げる④コーヒーカップ1/2まで注いだら、残りの湯を注ぐ⑤泡が消えないうちにドリッパーを外す |
点滴法は、その名の通り「点滴のように一滴ずつ湯を落とす」もの。本来はプロ仕様のドリップポットと、一滴ずつ湯を落とすプロの技法が必要なものです。
相応の握力と細かい動きを調整する腕の筋力がいりますが、湯量を多くしすぎないようにして、ぜひ一度試してみてください。香りと甘みがかなり復活します。
ご紹介した抽出前と抽出時の復活方法は、組み合わせることでより本来の豆の風味に近づけることができます。下記のように、ぜひ組み合わせてお試しください。
9. 賞味期限切れのコーヒー豆の活用方法
復活法を試しても風味が戻らなかったものや、大量過ぎて消費しきれないコーヒー豆は、飲む以外の方法でも有効活用ができます。
捨ててしまう前にぜひご一読いただき、生活の中でお役立てください。
9-1. 消臭剤として利用する
コーヒー豆は炭と同様、中に細かい穴がたくさん空いた多孔質構造になっています。
炭がニオイを吸着するのと同じように、コーヒー豆もその穴にニオイ物質をたくさん吸い寄せるのです。
この性質を利用して、消臭剤を作ることができます。
市販のお茶パックや不織布、ガーゼなどの目の粗い袋にコーヒー豆を入れれば、簡単で効果の高い消臭剤のできあがりです。
靴箱などの玄関周り、冷蔵庫内や生ゴミ入れなどのキッチン周りなど、家中のいろいろなとことで効果を発揮します。
9-2. 虫除けとして利用する
私たちにとっては良い香りのコーヒーですが、実は一部の虫にとってはうれしくない成分を出しています。
それを活用し、簡単な虫除けとして使うことができます。
豆のままでも挽き豆でも、庭木やプランターの土の表面にそのまま置いておくだけで、特にナメクジやアリなどに対して効果があります。
これはドリップした後に残ったコーヒーかすでも有効なので、天日やレンジなどでよく乾かしてから使うこともできます。
10. まとめ
今回は、コーヒー豆の賞味期限について、詳しく解説してきました。
コーヒーをおいしく楽しむため、「賞味期限は焙煎日から数える」ことをお伝えしました。
それぞれの豆の状態によるおいしい賞味期限をもう一度おさらいしましょう。
コーヒー豆の場合:焙煎後4日から14日の間
コーヒー粉(挽き豆)の場合:焙煎後3日から一週間程度の豆を挽いたのち5日間
温度や湿度による風味変化を避けるため、コーヒー豆は賞味期限内に飲みきれる分量だけを購入し、常温保存するのが何よりも大切です。
どうしても賞味期限内に飲みきれなかったら、無理に飲まずにまずは風味を復活させる下記の5つの復活方法をお試しください。
【抽出前】
・フライパンで煎る
・レンジで温める
【抽出時】
・ドリッパーとカップを温める
・高温で抽出する
・点滴法で抽出する
なにより、コーヒー豆は自然からの恵みです。
たとえ賞味期限が切れてしまっても、どうぞ消臭剤や虫除けとして有意義にご活用ください。
あなたのコーヒー生活が一層豊かなものになりますように。
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