コーヒー豆の生産地”コーヒーベルト”と世界三大コーヒー

コーヒー豆はどこで栽培されて、どのように日本にやってくるのでしょうか。

生産地や環境などによってコーヒーの味への影響はあるのかどうか、世界三大コーヒーとは何なのかを含めてご紹介いたします。

1.コーヒーベルト

コーヒーベルト

コーヒーノキはどこでも栽培できる植物ではなく、熱帯植物ですので日本の本州などでは育てるのが難しい植物です。

主な栽培地は赤道を中心とした南緯25度と北緯25度の間で栽培されており、この地域をコーヒーベルトと呼んでます。

ただ、コーヒーベルトの地域であればどこでも栽培できるかというと、そうではなく、さらに4つの条件を満たした場所でしか栽培・育成できません。

コーヒー農園の様子

①降水量

雨を多く必要とする植物ではないのですが、成長期には雨・水がたくさん必要で、収穫期には乾燥していることが条件です。

つまり雨季と乾季が必要です。

②日当たり

コーヒーノキは日光を好む性質がありますが、日差しが強すぎると木が弱ってしまうという難しい植物です。

そのためコーヒー農園ではコーヒーの周りにシェイドツリーと呼ばれる背の高い木を植えて、日光や日差しを調整しています。

③温度

コーヒーノキは熱帯植物ですので気温が高いほうが良いかと思う方が多いのですが、実際には少し涼しい気候を好みます。

年間平均約20℃位の所で育つので、場所によっては標高の高い場所でないと育たない場合があります。

④土質

これは品種にもよりますが、アラビカ種は水はけがよく、ふかふかで肥沃な土壌、さらに酸性の土壌である必要があります。

それに対して、カネフォラ種は土壌を選ばず栽培できますので、アラビカ種を栽培するのが難しい地域では、カネフォラ種の幹にアラビカ種を接ぎ木して栽培されることもあります。

2.栽培地域の標高

4つの条件がそろった地域でも、標高が高くなればそれだけ気温は下がります。

そのため、赤道に近くなればなるほど、気温が高いため、標高も高い地域で栽培され、赤道から離れるにつれて、気温も下がるため栽培地域の標高も下がっていきます。

品種の違いでは、アラビカ種は寒い地域を好むため、標高が高い地域での栽培が多く、反対にカネフォラ種は暑い方が良いので標高が低い地域での栽培に向いています。

3.標高の違いによる味への影響

昼夜の寒暖差が大きい地域

この標高というのはコーヒーの美味しさに大きく関係しており、標高が高いほど昼夜の寒暖差が大きくなり、平均気温も下がる傾向にあります。

平均気温が下がれば、それだけコーヒー豆の成長も遅くなり、収穫までに時間がかかってしまいますが、その分栄養が凝縮されます。

温暖な気候で早く成長したコーヒー豆よりも、厳しい環境でゆっくりと時間をかけて成長したコーヒー豆のほうが栄養を蓄えていて、その栄養が味・酸味・香りに影響するという事です。

こうした環境下でコーヒー豆として完熟し、完成したコーヒー豆は素晴らしい味と酸味、香りを持ち合わせていることから、近年のカップオブエクセレンスに選ばれるようなコーヒー豆の多くは標高が高い地域で生産されたコーヒーが多いです。

また、標高が高い地域で栽培されたコーヒー豆は酸味が強いといわれています。

これはコーヒー生豆に含まれるショ糖などの単糖類が焙煎の過程で熱を加えられることにより、糖から酸へと成分が変化する事が主な原因だと考えられております。

反対に言えば標高が高い地域のコーヒー豆には糖分が多いという事になります。

コーヒー豆の生産地の標高

しかし、標高は前述したとおり、国や赤道からの距離によっても変わってきます。

エチオピアコーヒーの中でのモカとして有名なイルガチェフェは標高1,800m~2,400mの地域で栽培されていますが、ブラジルの多くのコーヒーは標高1,000m~1,300mが多く、単純に標高が高い方が良い、美味しいという形での比較はできません。

それでも、グアテマラのコーヒー豆は生産された標高でSHB、HB、EPWという形式のグレードを決めているほど、コーヒーにとって標高は重要なポイントとなっています。

4.世界三大コーヒー

コーヒーには世界三大品種というのもありましたが、世界三大コーヒーもあります。

多くの人が聞いたことのある、ブルーマウンテン、キリマンジャロ、コナの3つです。

①ブルーマウンテン

ブルーマウンテン

ジャマイカの標高800m~1,200mの限られた地域でしか生産されないコーヒーのブランドです。

過酷な環境で栽培されているので、収穫量も極端に少なく、手にすること自体が非常に難しいコーヒーです。

ジャマイカ国家によるブランド戦力もあり、他のブランドコーヒーと比べても極端に価格が高いのも特徴で、そのブランド力のため、偽物も多く出回っています。

喫茶店などでは1杯3,000円程で提供しているお店もあります。

②キリマンジャロ

キリマンジャロ

タンザニアの標高1,500m~2,500mで大規模農場を作り、生産・栽培されています。

強い酸味を甘い香りを持ち、缶コーヒーの名前として使われたりするので、日本では非常に有名なコーヒーブランドです。

今ではアフリカコーヒーの代表的なブランドですが、昔は知名度がなくイエメン産やエチオピア産と一緒にモカとして輸出されていました。

③コナ

コナコーヒー生産地

ハワイ島の標高約500mにあるコナコーストで栽培・生産されるコーヒーブランドです。

日本にも愛好家の多いコーヒーですが、非常に高価な理由は、先進国で栽培されているので、栽培にかかる人件費や輸送費などの諸経費が価格を押し上げています。

柔らかい酸味と、甘い香りが特徴で苦みも少なくすっきりとした味わいです。

まとめ

世界三大コーヒーはブルーマウンテン、コナコーヒーは非常に希少性も高く、価格も高価なものでした。唯一キリマンジャロはタンザニア政府として支援をしていることもあり、身近な存在にはなっていますが、それでも世界の生産量の1%にもなりません。

希少性、味、香りなども含めて評価の高い世界三大コーヒー。

一度は味わってみてください。

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