8種の焙煎度合いによって変わるコーヒーの味と香り

コーヒーはコーヒーノキになる果実を洗浄、精製、乾燥させた生豆を焙煎し、粉砕してからお湯や水で抽出して完成します。

その中でも味や風味、香りに大きな影響を与える焙煎について、8種類の焙煎度合いと共にご紹介いたします。

1.焙煎とは

焙煎したコーヒー豆

コーヒー豆はコーヒーノキになる果実を洗浄、精製、乾燥させた生豆を火で煎ることを焙煎と呼びます。

焙煎前の生豆は青臭い匂いがし、そのままの状態では飲むことはできません。

火で煎ることによって青臭い匂いが抜け、私たちがよく見るコーヒー豆に変化していきます。

焙煎の過程でハゼと呼ばれる豆の組織が破壊される変化や、豆が膨らむことによってチャフと呼ばれる薄皮が取れたりして、香りや甘味、香ばしさなどが引き出されていきます。

2.8種類の焙煎度

同じ豆でも焙煎の度合いによって味や香りに大きな変化が現れます。

浅煎りから中煎り、深煎りと焙煎する時間や温度によって焙煎度合いが進んでいきますが、細かく分類すると8種類の焙煎具合があります。

①ライトロースト

色は非常に薄い茶色で、非常に酸味が強く残り、飲用にはまだまだ向かない状態です。

②シナモンロースト

シナモン色で、酸味が強く、香りもまだまだ引き出されていない状況です。焙煎のタイミングでいうと、パチパチという音がする1ハゼの終わり位です。

シナモンローストも飲用として提供されることはほとんどありません。

③ミディアムロースト

明るい茶色で、軽い苦みと適度な酸味が味わえる度合いです。

軽い口当たりが特徴で、豆本来の味わいが分かりやすいという事もあり、スペシャリティコーヒーには向く焙煎具合だと言われています。

焙煎のタイミングでいうと1ハゼが終わり、2ハゼとの中間位です。

④ハイロースト

一般的な茶色で、苦みと酸味のバランスが良く、この度合いが非常に良く使われています。

スーパー等で販売されているレギュラーコーヒーもこの度合いが多いです。

焙煎のタイミングでいうと、2ハゼの直前当たりの度合いです。

⑤シティロースト

鮮やかなコーヒーブラウンで、最も良く使われる度合いです。

程よい苦みと、適度な酸味が残り、香ばしさも感じ始めます。

最近では細挽きや超細挽きにしてエスプレッソで楽しむ方も増えています。

焙煎のタイミングでいうと、2ハゼが始まった位のタイミングです。

⑥フルシティロースト

濃い茶色で、酸味が落ち着き、苦みの方が強く感じるようになります。

アイスコーヒーやエスプレッソ用として販売されることが多く、豆の表面に油が出てきます。

焙煎のタイミングでいうと、2ハゼのピーク辺りです。

⑦フレンチロースト

非常に濃い茶色で、油が表面についています。

強い苦みが特徴で、ウィンナーコーヒーやカフェオレなど甘味を追加して飲むコーヒーによく使われます。

焙煎のタイミングでいうと、2ハゼが終わったあたりのタイミングです。

⑧イタリアンロースト

最も深い度合いで、色は黒に近い茶色です。

酸味は無く、強い苦みを感じ、エスプレッソで抽出し、カプチーノにして飲用すると美味しく飲めると思います。

焙煎のタイミングでいうと、2ハゼが終わった後、焦がさないように火力を調整しながら時間をかけて焙煎した状態です。

コーヒー豆

焙煎具合では浅煎りは酸味が強く苦みが弱い、深煎りになればなるほど酸味が抜けて、苦みが強くなります。

豆の種類や収穫地、精製方法によって豆の特徴が異なりますので、それぞれにあった度合いを見つけるのが焙煎士、ロースターの大きな仕事だといえます。

3.焙煎の方法と種類

焙煎方法

もっとも簡単な方法は手網やフライパンで加熱していくと生豆を焙煎する事はできます。

しかし、本格的に焙煎をしようとすると十分な火力と排気機能を備える必要があります。

プロの焙煎士が使う焙煎機は一気に何キロも焙煎することができ、煎りムラや煙の香りが豆についてしまうこともありません。

①直火式焙煎機

手網での焙煎も同じ直火で行ないますが、プロが使う焙煎機は大型で、排気の機能も優れています。

直火式は火力のコントロールが非常に難しく、プロの卓越した技術で煎りムラ無く、豆の中心まで火を通しています。

こだわりのある焙煎士の中には、次にご紹介する熱風式ではなく、わざわざこの直火式焙煎機を使い続ける方もいらっしゃいます。

最近ではキャンプなどで焚火をしながらコーヒー豆を焙煎する事が流行っており、これも直火式の焙煎になります。

炭を使うことによって、遠赤外線での加熱もあり、中心部までしっかりと熱を伝えることができ、煎りムラの少ない、炭の香りが漂う美味しいコーヒーが出来上がります。

②熱風式焙煎機

直火ではなく、温めた熱風を豆に当てることで焙煎する方法です。

直火ではないため温度のコントロールがしやすく、完全自動で焙煎することも可能です。

煎りムラもほとんどなく、豆の特性を引き出すことも可能で、大量の豆を一気に焙煎できるので大型の工場等でよく使用されます。

熱風式では自宅で焙煎するための機械が発売され、プロが設定した焙煎プロファイル通りに焙煎してくれるサービスも始まっています。

まとめ

焙煎は奥深く、度合いも8種類あり、それぞれに特徴のあるコーヒー豆に仕上がります。

直火式であれば家庭でもできますし、熱風式では家庭用の機械も発売され、焙煎自体がますます身近になってきました。

生豆の中でも特にスペシャリティコーヒーは、豆自体の個性があり、焙煎することで個性を引き出すことも、打ち消すこともできます。

ご自身でコーヒーの個性を引き出す焙煎をするのも一つの楽しみだと思います。

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