コーヒー豆の香りと味はどのくらい持つものなのでしょうか。
保存方法によっても変わりますので、今回はおすすめの保存方法と美味しく飲める期間についてご紹介いたします。
1.コーヒーの鮮度
コーヒー豆は生鮮食品だと考えています。
美味しく飲める期間と保存できる期間は違い、保存するだけであれば、一般的に半年(180日)がコーヒー豆の賞味期限となりますが、美味しく香り良く飲もうとするのであれば
コーヒー豆のまま…約1か月~2か月
豆を挽いた粉の状態…約10日~2週間
が期限だと思います。
コーヒー豆は挽いた瞬間が一番香りが強く、約60%程の香りはこの瞬間に放出されるといわれており、味の面でも挽いた瞬間から酸化が始まり、豆のままの数十倍のスピードで味が落ちていきます。
その為、美味しく飲みたいのであれば新鮮な状態で豆のまま購入し、飲むたびに挽くことをおススメします。
2.コーヒー豆を劣化させる原因
コーヒー豆には4つの避けなければならない保存条件があります。
①水分
コーヒー豆に水分は大敵です。
焙煎後のコーヒー豆の表面にはたくさんの穴が開いており、スポンジのような状態になっています。
その穴から水分を吸収してしまうとそれだけで味・香りは落ちてしまします。
湿度の高い台所下や、水蒸気が発生するポットやコンロの近くは絶対にに避けてください。
できるだけ乾燥しているところに保管することが重要です。
②温度
コーヒー豆は焙煎するくらいだから温度には強いだろうと考えてしまいますが、食品のほとんどが温度には弱く、温度が上がればそれだけ食品の劣化スピードが上がります。
コーヒー豆の表面に油のようなものがついている物を見ることがあると思いますが、あの油も温度が高い所に保管すればするほど早く出てきてしまい、油が酸化することで嫌なにおいを発生させます。
温度変化が大きい窓際や、キッチン周りには保管しないようにしましょう。
③光
光の中でも紫外線を浴びてしまうと、劣化が早くなります。
特に太陽光は外の看板やカーテンなどの色も変色させるほど強いエネルギーを持っており、食品を直射日光に当てることは絶対に避けましょう。
室内の光でも劣化は進んでしまうので、光の当たらないところをおススメします。
④空気
最後は空気の中に含まれる酸素です。
酸素はコーヒー豆の成分と結合し、酸化をさせてしまいます。
酸化が進むと、味・香り共に悪くなり、後味の悪いコーヒーになってしまいます。
しかし、真空パックが良いかというとそうではなく、コーヒー豆は常にガスを発生、放出しています。
そのため、真空パックにしても膨らんできてしまい、時間が経つとパンパンに膨れ上がることも珍しくありません。
この4つの条件をクリアできる保管場所は、冷蔵庫や冷凍庫です。
3.冷蔵庫でコーヒー豆を保管する
先に挙げた4条件をクリアする保管場所は冷蔵庫がおススメです。
冷蔵庫は乾燥しており、温度も低く、光も遮っています。
あとは空気に触れさせない条件をしっかりと守れば、良い状態での保管が可能となります。
空気に触れさせない方法では保存容器が重要です。
①1杯ずつ袋に小分けにする
これは少し大変ですが、1杯に使う量ずつ袋などに分けて保管する方法です。
最初に袋詰めする必要があり、袋の数も大量になってしまうので、なかなか難しいですが、確実に空気も遮断してくれる方法です。
②チャック付きの袋を2重にして使う
冷蔵庫の中にある別の食品の匂いをコーヒーに付けないために、2重に袋を使用することをおススメします。
匂いの強い食品をいれている場合は特に気を付けたほうが良く、コーヒー豆が冷蔵庫の消臭剤になってしまいます。
封をするときはなるべく袋の中の空気を抜いてチャックをすると酸素と触れ合う事も減らすことができます。。
③密閉できるガラス等の容器
形を変えることができないため、中の空気を抜くことはできませんが、他の食品の匂いがついたりせず、他の食品にコーヒー豆の匂いがつくことも無いです。
袋と違い捨てることがないので経済的なのもおススメです。
しかし、いずれの保管容器も注意すべきことがあり、冷蔵庫で保管したコーヒー豆は冷たくなっているので、常温の室内に出した時に少なからず結露が起こり、コーヒー豆の大敵”水分”が豆についてしまいます。
そのため、コーヒー豆を冷蔵庫から出す時間は極力短くし、必要なコーヒー豆を取ったらすぐに冷蔵庫に戻しましょう。
4.冷凍庫でコーヒー豆を保管する
冷蔵庫での保管と同様に、冷凍庫も乾燥しており、温度も低く、光も遮っている状態です。
違うのはコーヒー豆が凍るのかどうかという点で、焙煎後のコーヒー豆には約2%の水分が含まれており、その水分は凍ることになります。
冷蔵庫での保管同様に凍ったコーヒー豆に含まれる水分は常温に置かれると、水分が溶け出しコーヒー豆に悪影響を及ぼします。
冷蔵庫での保管の場合は2日分位をまとめて挽いて密閉容器に保管しても良いですが、冷凍庫で凍ったコーヒー豆の場合は1回で使用する量以上は挽かないようにした方が良いです。
抽出方法はいつもの方法と同じで、解凍などをする必要はなく。凍ったままコーヒー豆を挽いて、そのまま使えば大丈夫です。
5.新しい豆の方が良いのか?
コーヒー豆の保存方法について話す上で、新鮮な豆というキーワードは欠かせませんが、新しければ良いのかというとそうではない所もあります。
焙煎直後のコーヒー豆は大量の炭酸ガスを発生させていて、新鮮な豆をドリップする時のコーヒー豆のふくらみとは違う、泡のような物が発生し、コーヒー豆から成分をしっかりと抽出することができないことがあります。
私たちロースターも焙煎直後のカッピングは苦労することもあり、特に香りを評価する際には慎重にならざるを得ません。
その為、コーヒー豆店の中には数日寝かせた豆しか販売しないお店もあります。
スーパーなどで購入する時は、袋があまりにも膨らんでいる物は焙煎後に時間がたって、ガスが大量に発生している可能性もありますので避けたほうが良いと思います。
また、真空パックに入っている商品も、元々ガスを発生する商品にも関わらず、真空の状態を維持しているという事は、ガスが発生しない状態にしてからパッキングしているという事なのであまりおすすめはしていません。
どのような容器に入れてあるのかも、商品を選ぶ際の一つのポイントだと思います。
まとめ
賞味期限とは「美味しく食べられる期限」とされており、美味しく食べられるという点の考え方により大きくその期限は変わると思います。
少しでも長く美味しい状態で保存したいという願いはみなさん共通の思いなので、4つの条件をご紹介しました。
経済的な事も考えると、冷蔵庫に密閉容器に入れて保管する方法がお勧めですが、何よりも大切なのは新鮮な豆を定期的に購入することが一番美味しいコーヒーを楽しむコツだと思います。
コメント