世界一のコーヒー生産国であり、消費量はアメリカに次ぐ世界第2位。
コーヒー好きな人なら誰もが一度は飲んだことがあるであろうブラジルのコーヒについてご紹介いたします。
1.ブラジルコーヒーの歴史
ブラジルには自生するコーヒーノキはなく、約300年ほど前にエチオピア産のコーヒーノキがヨーロッパ経由で輸入されたとされており、本格的な栽培は1760年代から始まっています。
その栽培には奴隷が利用されており、多い時期には約150万人がコーヒー栽培に従事させられていたとされています。
しかし、1850年に奴隷制度が廃止されると、ヨーロッパからの移民達を雇用する様になり、労働の対価としてお金が支払われるようになり、ブラジルの産業の発展に大きく寄与することとなります。
1920年頃にはブラジルのコーヒー生産量が世界シェア80%もあり、ほとんど独占状態でしたが、徐々に世界各国でコーヒー栽培が始まることで少しずつシェアが下がっていき、現在では世界の約30%となっております。
2.ブラジルコーヒーのグレード・等級
コーヒー豆の等級の基準は各国で違います。
ブラジルの場合は、豆の大きさ、欠点豆の少なさ、カップ(味)で等級が分かれます。
①豆の大きさ
豆の大きさは大きいほうがランクが上になります。
大きいということは豆の生育が順調で、大きく育ったという意味で捉えられており、大きく順調に育ったコーヒー豆は味わいが豊かだと考えられています。
- スクリーン20…8mm
- スクリーン19…7.5mm
- スクリーン18…7mm
- スクリーン17…6.75mm
- スクリーン16…6.5mm
- スクリーン15…6mm
- スクリーン14…5.5mm
- スクリーン13…5mm
②欠点豆の少なさ
コーヒー豆300gの中から欠点豆の数を数えて、少ないほうが等級が高くなります。
欠点豆も豆の数がそのままポイントになるのではなく、欠点豆の種類によってポイントが異なり、石などが入っていれば1個で5ポイントという場合もあります。
- No.2…4点以下
- No.3…8点以下
- No.4…26点以下
- No.5…46点以下
- No.6…86点以下
- No.7…160点以下
- No.8…360点以下
●欠点表
- 小石…1点
- 中石…2点
- 大石…5点
- 黒豆…1点
- パーチメント…2個1点
- 未熟豆…5個1点
- 割れ豆…5個1点
No.1が無いのは完璧なものはないという考え方があり、最高等級はNo.2となっています。
③カップ(味)
サンプルを抽出し、カッピングを行ないます。
カッピングは各国のスペシャルティコーヒー協会も重要視するポイントで5段階に分かれています。
- Stricity Soft…非常になめらかで、甘味のある味わいと香り
- Soft…なめらかで甘味のある味わいと香り
- Hard…鋭い刺激を感じる味わい
- Rioy…やや不快感を感じる味わいと香り
- Rio…不快を感じる味わいと香り
ブラジルでは5段階での評価ですが、SCAA(アメリカスペシャルティコーヒー協会)では100点満点でコーヒーの味わいや香り等を評価しており、ブラジル産のコーヒー豆でもSCAAでの評価を元にスペシャルティコーヒーとして販売されることも多いです。
3.ブラジルコーヒーの銘柄
タンザニアのキリマンジャロ、コロンビアのエメラルドマウンテン等世界には有名なコーヒー豆の銘柄があります。
ブラジルにも銘柄があり、特に有名な銘柄をご紹介いたします。
①ブラジルサントス
ブラジルコーヒーで最も有名なコーヒー銘柄で、サントス港から輸出されるためこの名前が付けられました。
酸味・苦みともに柔らかい印象で、さわやかな風味が特徴です。
サントスNo2#17-#18というように表記されることもあり、銘柄がブラジルサントスで欠点前が非常に少ない最高グレードで、豆の大きさも6.75mm以上の豆だという意味です。
②ムンドノーボ
ブルボン種とスマトラ種の交配によって完成した新種のコーヒー豆です。
手摘みで収穫され、水洗式で精製されたコーヒー豆で、さわやかな酸味と苦みが特徴の高級コーヒー豆です。
③カドテアズール
ブラジルのブルーマウンテンと呼ばれる最高級ブルボン種アラビカ豆で、風味が豊かで美味しいコーヒーとされており、ストレートで味わいたい一品です。
④サンジョセ
サンジョセ農園のあるガシュペ地方はきつい傾斜の地にコーヒーノキを植えるため、機械での収穫が難しく、手摘みでの収穫が主な方法です。
精製方式はナチュラル方式で、天日干しされる過程で完熟豆の甘味成分がコーヒー豆に良い影響を与え、柔らかな甘味を持つ風味豊かなコーヒーに仕上がった高級コーヒー豆です。
4.ブラジル産コーヒーの味と香り
ブラジル産のコーヒーにも生産地や品種などによって味香りは異なりますが、主な特徴としては酸味や苦み、コクは柔らかい印象で、全体的にバランスが良いという点が挙げられます。
香りは上品なものが多く、ナチュラル製法でのコーヒー豆が多いことから甘い香りも特徴の一つです。
生産量が多いことで、価格も比較的安く、供給も安定的に手に入るため主にブレンドの材料として用いられることが多いです。
しかし、シングルオリジンとしての評価も高いコーヒー豆もあり、ブラジルの中でも特徴のある農園・品種もあるので色々と試してみることをおすすめします。
生産地の標高や環境による味への影響はこちらの記事でご紹介しています。
まとめ
コーヒー好きなら出会うことも多いブラジルコーヒーには、300年近い歴史があり、150年もの間、世界一を維持し続けています。
ナチュラル製法のコーヒー豆が多いことから、完熟豆の甘味がコーヒー豆にも影響して、甘く上品な香りで、酸味や苦みのバランスの良いコーヒー豆が多いのが特徴です。
世界一のコーヒー大国ブラジルのコーヒーは、それぞれに特徴も色々とあり農園ごとに試してみることをおすすめします。
他国のコーヒー豆の特徴と香りはこちらからどうぞ
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