コーヒー豆の真ん中にある線の部分をシルバースキンと言います。
チャフとも呼ばれますが、この部分が与える味への影響を調べてみました。
1.シルバースキンとは
コーヒー豆はコーヒーチェリーと呼ばれる果実の中にあります。
構造についてはこちらをご確認ください。
シルバースキンというのは生豆の周りを覆っている薄い皮で、焙煎前の生豆の状態には全体を覆う形で残っている場合がほとんどです。
焙煎時にチャフとして多くの部分が取り除かれますが、センターカットと呼ばれるコーヒー豆の真ん中にある溝の部分に一部が残っています。
この溝は一見すると深くないように見えますが、コーヒー豆をセンターカットに沿って割ってみると、実は渦巻き状にコーヒー豆の中心部までつながっており、シルバースキンも豆の中心部まで広がっています。
半分に割りましたが、まだ奥までつながっています。
さらに割っていくと、このように中心部までシルバースキンが広がっていました。
1つのコーヒー豆からこれだけのシルバースキンが出てきます。
このシルバースキンは雑味やシブ味の原因となると言われており、焙煎時にチャフをきれいに飛ばすためにどのように焙煎したら良いかなども研究されております。
今回はシルバースキンを取り除いたコーヒーと、いつも通りに淹れたコーヒーを飲み比べしました。
2.シルバースキンの取り除き方
シルバースキンをすべてきれいに取り除くのは非常に手間がかかり、時間もかかりました。
最初は上記の様に一つ一つのコーヒー豆を分解し、シルバースキンをきれいに剥がしていましたが、割れたコーヒー豆が爪の間に刺さったりしますので、この方法はお勧めしません。
色々と試してみて良かったのは、細かく割らずに、袋に入れたコーヒー豆を綿棒などで叩いて、大きめに割れ目だけを入れます。
これをお皿に広げて、シルバースキンだけが飛ぶように優しく息を吹きかけると、重いコーヒー豆だけが残り、シルバースキンは飛んでいきます。
この方法でシルバースキンを取り除いたコーヒー豆がこちらです。
ほとんどシルバースキンは残らず、純粋にコーヒー豆だけが残りました。
こちらが息を吹きかけて飛ばしたシルバースキンです。
細かく割れたコーヒー豆も一部飛んでしまいますが、ミルで挽くこともできないのでこちらはあきらめました。
シルバースキンを取り除いたコーヒー豆で飲み比べを行います。
3.飲み比べ
使用したコーヒー豆はグアテマラのシティローストにしたスペシャルティコーヒーを使用しました。
先ほど挙げたよう砕いたコーヒー豆に息を吹きかけて、シルバースキンを取り除き、ミルしたものがこちらです。
シルバースキンを取り除いていない方は、挽いた後に薄皮のようなシルバースキンの欠片が目立ち、シルバースキンを取り除いた方にはほとんどありません。
これをペーパードリップで淹れますが、この時のコーヒードームのでき方にも違いがあり、シルバースキンを取り除かなかったほうは大きく膨らみ、シルバースキンを取り除いた方は膨らみが弱く、すぐに中心部がへこんでいきました。
上の画像がシルバースキンを取り除かなかったコーヒードーム、下の画像がシルバースキンを取り除いたコーヒーです。
シルバースキンはガスの発生に影響を与える要素を持っているのかもしれません。
また、抽出スピードにも影響があり、ほとんど同じタイミングでお湯を入れましたが、左側のシルバースキンを取り除いたコーヒーの方が早く落ちていきました。
これは味への影響も大きく、粗挽きにしたようなイメージだと思います。
抽出後の泡の残り方にも差が出ました。
上の画像がシルバースキンを取り除かなかったコーヒー、下の画像がシルバースキンを取り除いたコーヒーです。
この泡は一般的にいう”アク”と同じようなもので、エグ味やシブ味の原因だと考えられます。
これを見るだけでも、シルバースキンを取り除いたコーヒーの方がすっきりとして、飲みやすいコーヒーになっているだろうと想像できました。
使用したお湯の量は一緒ですが、右側のシルバースキンを取り除いたコーヒーの方が抽出できたコーヒーが少なくなり、シルバースキンがお湯を吸収しやすいのではないかと考えられます。
飲み比べた結果は想像通りの結果で、
①シルバースキンを取り除いていないコーヒー
グアテマラのスペシャルティコーヒーらしく、果実のような酸味もあり、チョコレートのような甘味を感じる美味しいコーヒーでした。
②シルバースキンを取り除いたコーヒー
非常にすっきりとしており、紅茶のような飲みやすさで、シブ味など全く感じないゴクゴクと飲めるコーヒーでした。
どちらが好きかという好みの問題もありますが、飲み比べて分かる明らかな違いを感じました。
それだけシルバースキンには味への影響を与える要素があり、コーヒー豆を挽いた後に簡単にシルバースキンを取り除くための器具の開発があっても良いかと思います。
まとめ
コーヒー豆を挽いた後にでる薄皮は何だろうという興味から始まった飲み比べですが、シルバースキンがこれほど大きな影響を与えているとは思いませんでした。
シルバースキンを取り除くと、味わいがすっきりとし、香りなどもしっかりとありながら、飲みやすいコーヒーに変化します。
手間がかかりますが、ぜひ一度試してみて下さい!
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